2020年11月20日

論文紹介1 ~TiO2/CdS/SiCの合成~

投稿者: Haruki

Haruki Nagakawa,* Tsuyoshi Ochiai, Morio Nagata
Fabrication of CdS/β-SiC/TiO2 tri-composites that exploit hole- and electron-transfer processes for photocatalytic hydrogen production under visible light
International Journal of Hydrogen Energy, Volume 43, Issue 4, January 2018, Pages 2207-2211.

 初めて投稿した論文。これまで,硫化カドミウムの光触媒活性を高めるために,酸化チタンと複合する報告が多く報告されていた。酸化チタンの伝導帯は硫化カドミウムよりも正に位置しており,かつ水素発生に適している。したがって,硫化カドミウム上で励起した電子が酸化チタンの伝導帯へと空間的に移動し,再結合が抑制されることで活性が向上すると言われている。このアプローチを硫化カドミウム上の正孔にも適用できないかと考え,より価電子帯が負に位置する,炭化ケイ素との複合を試した。その結果,CdS単体に比べて,CdS/SiCやTiO2/CdSで活性が向上し,TiO2/CdS/SiC三種複合光触媒で最も高い活性を示した。粉末光触媒を用いて,生じた励起電子と正孔をそれぞれ別の半導体に輸送し,水素生成活性を向上させたのは初めての報告である。本論文発表の業績が評価され,2017年度東京理科大学学生表彰および奨励賞を受賞した。

https://doi.org/10.1016/j.ijhydene.2017.12.006