2020年10月20日

光触媒の定義

投稿者: Haruki

 Wikipediaにおいて光触媒の定義は「光触媒は光を照射することにより触媒作用を示す物質の総称である。」と記述されている。触媒作用とあるが,触媒の定義は「熱力学的には進行可能であるけれども、遅いある特定の化学変化の反応速度を,少量の添加によって、著しく増大させることのできる物質。」と世界大百科辞典第2版に記述されている。「熱力学的には進行可能」とはつまり,ギブス自由エネルギー変化が負であるということである(ΔG < 0)。このように,触媒には活性化エネルギーを低下させ,反応速度を増大するというイメージがもたれることが多い。しかし実際の光触媒反応では、純水の分解に代表されるように,ギブス自由エネルギー変化が正になる場合がある。したがって,一般的に触媒と呼ばれている物質とは正確には異なる。本サイトで光触媒反応について記述する際の光触媒の定義は「光を吸収して生じた励起電子と正孔によって反応を進行させる物質」とする。